トコジラミはシラミの仲間ではなく、生物学的にはカメムシの仲間です。一方、人の目につきにくい暗い場所や、あたたかい場所を好む点は、家庭の嫌われ者であるゴキブリに似ています。
見た目もゴキブリの幼虫に似ており、繁殖力も生命力も強いため、放っておくとすぐに増えてしまうというリスクがあります。また人間や動物の血を吸うことで栄養を摂る生物であるため、その点も注意が必要な害虫のひとつです。
トコジラミは卵から孵化して、幼虫になった段階から死ぬまで、人や動物の血を吸って生きている害虫です。その対象は大人の人間だけでなく、小さなお子さんや赤ちゃんにも及ぶものになります。
基本的には、トコジラミの吸血により、伝染病などが媒介されるリスクは低いと言われていますが、吸血によって強いかゆみが起こることがあります。個人差もありますが、強いかゆみやショックによって、眠ることができなくなったという被害も報告されています。
イヌやネコなどの動物の血も吸う点は、トコジラミが本家のシラミとは違う面でもあります。そういった側面からはダニに近いとも言えるかもしれません。
わたしたち人間やかわいいペットが寝静まった深夜に、トコジラミは隠れ場所から這い出してきて、気づかれずに血を吸って、住み処に帰っていくのです。愛するペットたちに、言葉にできないかゆみやストレスを与えてしまうことも、トコジラミの困った被害のひとつといえます。
大切はお子さんやペットをトコジラミから守るためにも、トコジラミの調査や駆除をご検討ください。
日本国内においては、まだまだ知名度の低いトコジラミ(別名:ナンキンムシ)ですが、アメリカ合衆国やイギリス、オーストラリアをはじめ諸外国では、その被害は深刻な問題となっています。実際に、訴訟大国でもあるアメリカ合衆国では、トコジラミに刺された宿泊客から裁判を起こされ、1,500万円もの賠償金を支払ったホテルもあるそうです。
その背景には、アメリカ合衆国において鎮静化していたトコジラミ被害が、2000年代に入ってから再流行していることが挙げられます。経済や文化の中心地でもあるニューヨークでは、ホテルなどの宿泊施設や高級なアパレルショップにおいてトコジラミが大発生し、駆除や対策のために数日間の休業を強いられたというケースも多数見られています。
専門業者に依頼することで、発生してしまったトコジラミを駆除することは可能ですが、「○○ホテルでは、トコジラミが発生した」というニュースや記憶は完全に消し去ることはできません。
特にインターネット社会においては、ツイッターなどで情報が拡散するスピードも速く、悪評が広がってしまうことで、店舗のイメージダウンやブランドの失墜につながるリスクも高いといえるのです。
外来種であるトコジラミは、江戸末期~明治初期の時代に日本に持ち込まれたという説がありますが、衛生環境の改善や効果的な殺虫剤などの活用で、1970年代には鎮静化したといわれていました。
ところが、グローバル化が進み、海外との貿易や海外旅行がより増えて行く中で、従来の殺虫剤などへの強い耐性を持ったトコジラミが商品や海外旅行者と共に来日し、日本においてもトコジラミが増えつつあるという報告がされています。
まずは、トコジラミに対する知識を身につけておくことが必要です。