昨今、日本でも増殖していることが報告されているトコジラミ。
「トコジラミ」と聞くと、あまり耳馴染みのない方も多いかもしれませんが、
別名「南京虫(ナンキンムシ)」とも呼ばれる害虫で、戦後の日本で大発生しました。
その後、駆除や清浄化によって、日本においてトコジラミはあまり見られなくなっていましたが、多くの人々が頻繁に「海外⇔日本」を行き来するようになった近年、再び日本でも急激に被害が拡大している現状があります。
約1週間で卵から孵化し、約1ヶ月の幼虫期間を経て、成虫となるトコジラミ。
人間や動物からは迷惑な話でありますが、トコジラミの主な栄養源は血液であるため、卵から孵化した幼虫も、成虫も吸血します。また、成虫の寿命は長く、雌は1日当たり5~6個の卵をほぼ毎日産み続け、一生の間に500個もの卵を産むことになります。
対策をせずにトコジラミを放っておくと、どんどん増殖し続け、となりの部屋や別の階にまで広がっていきますので、ホテルや旅館などの宿泊施設や、集合住宅のオーナー様には定期的な点検をおすすめしています。
体長 | 成虫は5~8mmで、メスはオスよりやや大きい。 |
色・形 | 赤茶色の卵型をした扁平な体で、羽を持っていません。 (吸血すると「濃褐色」になり丸く膨れあがります。) |
成長過程 | 卵→幼虫→成虫を経過し、蛹(さなぎ)の過程がない「不完全変態」の昆虫です |
産卵数 | 1日に5~6個。生涯に200~500個も産卵します。 (卵の大きさは1mm程度で、肉眼で見ることができます。) |
卵の期間 | 約1週間 |
幼虫期間 | 約1ヶ月 |
成虫期間 | 3ヶ月~半年 ※これらの期間は温度によって大きく変化します |
漢字では「床虱」、英語ではBed Bugと書かれるトコジラミですが、もちろん床やベッドだけではなく、さまざまな場所に生息しています。夜行性のトコジラミは、明るい昼間のうちはわたしたちの目が届かないところに潜伏し、みなさんが寝静まった深夜に動き出して、人間や動物の血を吸うのです。
●明るい時間帯、トコジラミはこういった場所に潜んでいます。
ベッドまわり | ベッド下、つなぎ目の隙間、布団、寝具類 |
内装材 | 床、壁、柱、じゅうたん、畳、壁紙のはがれ目、カーテンの折り目、縫い目 |
家具類 | テーブル、椅子、本棚、絵画の額縁など |
電化製品 | テレビ、照明スタンド、コンセントなど ※主に発熱するもの |
その他 | 書籍類、段ボール、バッグ類 |
周囲が暗くなり、わたしたちやペットが寝静まった頃、トコジラミは活動をスタートします。蚊などの吸血昆虫と同じように、人間の体温や吐かれた二酸化炭素をめざして、暗闇の中を移動。ゆっくりと静かにしのびより、人間の血を吸って、おなかいっぱいになるとまた自分の住み処へと戻っていきます。
吸血しなくても、条件によっては6カ月以上も生き続ける強い生命力を持っていますので、一度でも刺されてしまった場合には注意が必要です。
壁や障子、ベッドなどの木製部分にたくさんの黒い点が見つかったら、トコジラミが潜伏している危険性が高いといえます。隙間を好むトコジラミは、その隙間周辺にたくさんの“糞”(ふん)を残していきます。写真のような多数の黒い点(=糞)が付着していたら、被害拡大を防止するためにも、トコジラミ対策を行うようにしてください。